対談 Leaf 代表 歯科技工士 戸島大輔
今回は一人の患者さんの治療に際して、チェアサイドとラボサイドの連携をどのように行っているかについて、大阪市中央区で技工所を開設している戸島大輔先生と対談形式でご紹介いたします。戸島先生とは以前勤務していた医院で一緒に多くの補綴装置(かぶせなど)を患者様にご提供してまいりました。
![技工士 対談 技工士 対談](https://kaneko-dental-clinic.net/asset/IMG_5925.jpeg)
いきなり治療に入るのではなくまずは資料採取とご相談
金子:こんにちは。本日はお忙しい中ありがとうございます。
戸島:こんにちは。こちらこそ、患者様に我々の仕事を知ってもらえる機会をいただきまして非常に感謝しております。
金子:早速ですが、治療の話しに入ります。
まず歯科医師サイドの治療の入り方についてですが、クリニックに初診の患者さんがいらした際に、もちろんお痛みその他の急性症状に対する応急処置は行いますが、患者さんのお話しをお聞きしたあといきなり治療に入るのではなくまずはレントゲンや歯型の模型などの資料を採取させていただく事が多いです。それを元に現状を把握して原因の診断を行います。
そこで初めて治療計画の立案になります。
戸島:1本だけの治療で大丈夫な場合もあれば、大きく崩壊してしまって大規模な治療が必要な場合、歯の基礎である歯周組織組織の修復から入らなければならない場合もありますよね。
金子:技工士さんとしてはどのタイミングで治療計画の立案に参加するとより良い結果に結びつけられるとお考えですか?
戸島:状況にもよりますが、できれば患者さんが医院に来院された時から患者さんとお会いしたいと考えております。以前の診療所では技工所が医院に併設されていましたので、折を見て診療室に行って患者さんとのコミュニケーションをはかる事ができました。
治療に入る前の最初の時点のコミュニケーションは特に大事
金子:確かに診療室で技工士である戸島先生を見かける事多かったですね。
戸島:初診時の患者さんのお口の中の状況の把握と、その方が歯科に対してどのような意識を持っていらしてるのだろうなど、その内容から治療の希望の範囲を直接知るなど、得られる情報は多いです。
金子:歯科医師には話しにくい話しも技工士さんには患者はしてくれる事は多いですよね。たとえお口の中が同じ状況だとしても、患者さんによって求められる治療は違いますからね。
戸島:そうですね。さらに、予定する技工物(かぶせや入れ歯など)が物理的に製作可能かどうかの判断や、そこにたどり着くためのステージ作りを歯科医師と相談する事もとても重要な術前作業です。
金子:と言いますと?
戸島:患者さんのご希望を元に先生が立案された治療計画にあわせて、かぶせや入れ歯に使う最新の材料やその使い方、設計、を提案し現実的な治療方針の擦り合わせをします。
金子:その話し合いの結果を我々歯科医師が患者さんにお伝えしてご理解いただいて初めて治療を開始します。歯茎の治療や根の治療など最終的な被せ物を入れていく為の下準備をすませてから、カスタムメイドの仮歯の作成し、最終的な状態を患者さんのお口の中で再現します。実際に患者さんに体験してもらう事で患者さんの使い勝手や見た目の満足度もお伺いします。
戸島:お口の中でしかわからない事を先生にお願いして、同時に我々技工士は、お口の中ではわからない噛み合わせの状況や高さなどを模型上でチェックします。
金子:このカスタムメイドの仮歯をプロビジョナルレストレーションと言いますがこの出来で最終的な被せ物の8割決まる!と言っても過言ではないですよね。
戸島:そうですね。
金子:入れ歯の場合もそうですが、仮の歯で最終的なかぶせの設計、高さ、形、患者さんの想い、お掃除のしやすさ、見た目の綺麗さを煮詰める事が非常に大事になってきます。そしてこれで大丈夫、となったものを技工士さんに送って 最終補綴に置き換えてもらう。
戸島:いかに仮歯の情報を最終的な被せ物に移し替えていくかが技工士の腕の見せ所になります。
金子:これを経て初めて長持ちする安定した被せ物をご提供でき、患者さんに喜んでいただけると、歯科医師、技工士のみでなく、医院の受付から助手、衛生士、チームでサポートさせていただいたスタッフ全員の歯科治療の喜びになりますよね。
戸島:全ての患者さん、というわけにはいきませんが、ご縁があって担当させていただいた患者さん、出会った方々にはしっかり噛める喜びを感じてもらいたいといつも考えています。
金子:本日は有難うございました。これからもよろしくお願いいたします。
戸島:有難うございました。
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Leaf Dental Laboratory
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戸島大輔 (としま だいすけ)
![技工士 戸島 技工士 戸島](https://kaneko-dental-clinic.net/asset/IMG_5934.jpeg)
略歴
1980年 香川県生まれ
2003年 新大阪歯科技工士専門学校 卒業
2004年 大阪大学歯学部付属病院技工研修 終了
2004年 小室歯科
2006年 貴和会診療所
2006年 Den Art
2009年 西村歯科 金剛診療所
コース・所属学会
・大阪SJCDテクニシャンコース15期
・大阪SJCD
・Amorphous会員・理事
・国際口腔インプラント学会 認定歯科技工士
掲載・文献
・歯科技工2010年1月 「Amorphous特別講演会」に参加して
~審美補綴を達成するための多角的な手法が供覧される~
・ZERO 2011年 秋 Its a Study Group 「Amorphous」
・歯科技工 2013年8月 Inside Story of HMPS 5th Congress in Osaka
・QDT 2013年12月 The Pice of Dental Technology
・2014年9月 ~明日につながるワンポイントテクニック~